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広報委員が行く!会社訪問

株式会社ダイバーシティメディア(旧:株式会社ケーブルテレビ山形)

所在地:山形県山形市あこや町1-2-4
電 話:023-624-5000
HP:http://www.catvy.jp/
代表取締役社長:高橋 文夫
代表取締役専務:吉村 和文

 

1992年設立、1994年ケーブルテレビ事業を開始。
2011年1月には30,800世帯加入を突破し、サービスエリア内の普及率は35%にも上る。
デジタル多チャンネル放送、地上波デジタル放送他、オリジナルの番組作りに力を入れており東北地方で随一の番組数を誇る。
その他、インターネット事業、イベント企画、e-コマース事業、モバイル・PCのユビキタス事業、映画館の経営、山形国際ムービーフェスティバルの開催など、 マスメディア関わる様々な事業を展開している。

 

『広報委員が行く!会社訪問』 第7回は、山形の地域情報番組を中心に、出版やCD・DVD製作、映画に至るまでさまざまなコンテンツを手掛ける(株)山形ケーブルテレビ 代表取締役専務 吉村 和文氏を訪ねました。

 

東京でもこの冬一番の寒さに見舞われた2月、私たちは山形の情報発信の拠点であるという「(株)ケーブルテレビ山形」を訪れました。 バイタリティあふれる吉村専務にお話しをお伺いすると、山形の地域情報にこだわりながらも東北全体からグローバルに目を向ける番組制作への取り組みを知ることができました。 まずは、会社設立の経緯をお聞きしましょう。

Q:会社の歴史についてお聞かせください。

弊社は平成4年9月14日に設立しました。 当時、東北の情報はとても遅れていたんです。山形にはテレビ局が3局しかなく、フジテレビが放送されていなかったため大人気だったアニメ『ドラゴンボール』が見られなかったんです。 若者文化としてはおもしろくないですよね。 隣の米沢市ではすでにケーブルテレビができていて、フジテレビを見ることができるのに、なぜ、県庁所在地である山形市では見られない番組が多いのか?という、情報の遅れに対する不満は多かったです。 そこで、当時の有志たちが少しずつ出資をして県庁所在地である山形市にテレビ局をということで「ケーブルテレビ山形」の設立に至りました。 自分たちの地域に誇りを持ちたい、自分たちの地域が情報の田舎に終わりたくない、そういう想いが強かったんですね。

Q:単に難視聴対策だけではなく、地域発信にこだわられているとのことですが?

そうですね、情報は東京から放射状に流れているのが現状です。これを山形・東北の地からも発信していきたいという想いを持っています。 実は、東北では弊社が一番、自社制作の番組が多いと自負しております。 首都圏や世界の情報ももちろん大切です。しかし、地域で情報の受け手になっている人の方が圧倒的に多いんです。 この受け手になっている人たちが同じように情報発信できるようになったら、情報の質や事業としてのレベルがぐっと上がると思うんです。 首都圏に比べて、情報や文化で遅れをとる山形を引っ張りあげていきたいと思っています。

Q:地域に根差した番組を作る上で大切にしていることは何ですか?

「ケーブルテレビ山形」の番組テーマは “小さいけれど、されど尊い物語” です。 例えば、隣近所のおじさん・おばさんが難病と闘っている、それを家族が一生懸命支えている。 そんな話は世間的に見てすごく小さな話かもしれません。政治や経済のことの方が重要だと思う人も多いと思います。 でも、その家庭や周辺の人にしてみればとても尊いことなんです。そこに感動なくして、何に感動するのかということが、当時、会社を設立した者たちの共通の想いです。 “小さいけれど、されど尊い物語” これは、今でもずっと変わらない私たちのテーマです。


Q:「ケーブルテレビ山形」の人気番組を教えてください。

メインのひとつとなっている『トーク番組-今日とは違う、世界がある-』という番組があります。

これは、2時間「環境」「食」「教育」などカテゴリごとに地域のことを地域の人たちで徹底的に討論する番組です。 そのときのテーマに合わせて市長や町長、企業の方をゲストに呼んで本気の討論が行われています。 15年間続く長寿番組なのですが、山形を知りたい方にはぜひとも見ていただきたい番組です。

また、『さとみ漬物講座』は、“さとみさん”という普通の奥さんがお姑さんに習った、簡単においしくお漬物の紹介をしたところ大人気となりました。 今は県外にまで漬物講座を開きに行くくらいです。 さとみさんは正にケーブルテレビ山形が生んだスターですね。(笑)

Q:たくさんの番組を作っていらっしゃいますが、制作体制はどのようになっているのですか?

多かったときは制作部で25名くらいいました。 みんなカメラも編集も、ときにはレポーターもこなして、それぞれの番組を作っています。 すべて社員が作っているので、5年、7年といった長いタームのものでも“興味のあるもの”“おもしろいと思ったもの”は徹底的に追いかけるように言っています。 番組制作の現場は大変だと思いますが、良い番組を作るために、新人は先輩の後について、いろいろな技を盗み学んでいってもらいたいですね。

Q:映画祭を主催されているとお伺いしたのですが?

「山形国際ムービーフェスティバル」を2004年からスタートさせました。 山形出身の小説家・藤沢周平 原作の『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』、米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』など、山形は今、日本で一番映画が撮られている街と言われています。 そんな“映画の都・山形”にたくさんの映画を集めて、表彰をする。その賞金でまた良い映画を作ってもらいたいと思っています。 実は、2008年に「MOVIE ON やまがた」というシネコンをオープンさせました。 山形の映画文化がさらに発展していってほしいですね。

Q:「オール山形」方式の映画が作られるとのことですが?

今年6月公開予定の藤沢周平 原作の映画『小川の辺(ほとり)』は、山形新聞、山形放送、山形テレビ、テレビユー山形、さくらんぼテレビ、弊社のマスコミ6社が製作に取り組んでいます。 これが「オール山形」方式と呼ばれているんですが、国内では例をみないキー局の枠を越えた共同製作なんですね。 今までの考えだと、キー局が協力するというのはなかなか難しいことですが、このプロジェクトでは既成概念を取り払って山形から全国に発信できる作品づくりにをチャレンジしています。 みんなが協力することで、山形のみならず東北全体が元気になっていくんですよね。

Q:未来の「ケーブルテレビ山形」とは?

東北のハブになるような代表するテレビ局になっていきたいですね。 ある意味、東北のトータルな情報コンテンツホルダーとして、各局へ配信していきたいと思っています。そして、首都圏や全国、世界へ情報発信をしていきます。

 

 

ここからは、日本映像事業協会 「ヤング映像クリエーターを励ます賞」「努力賞」を受賞した ケーブルテレビ山形 制作部 舟岡 絵理さんにお話しをお伺いしました。

 

 

■舟岡 絵理さん プロフィール
1980年生まれ。 9歳より山形県で育つ。
日本大学藝術学部卒業後、(株)ケーブルテレビ山形に入社。
2010年、『コミュニティー・アイ「山形市立第二中学校第三学年総合プレゼンテーション~平和な未来よ、永遠に~」』で日本映像事業協会 「ヤング映像クリエーターを励ます賞」を受賞。

Q:受賞の喜び

賞をいただいたことで、「こんな番組も作っているんだね」と社員を含め、見てくださる方が増えたことが一番の喜びでした。 普段から作っている番組数が多く、日々番組が流れていくことが当たり前になっていて、なかなか1つの番組に目を向ける機会も少ない中で注目されることは嬉しかったですね。

Q:受賞された作品はどのような作品ですか?

『コミュニティー・アイ』という番組の1つの企画だったのですが、この番組は制作部の担当が月に1回、好きな企画を出して好きに作って良いという枠だったんです。 何年か前に取材の中で、沖縄に修学旅行に行き、そこで戦争について学び発表するという活動をしている中学校があると知りました。 山形から沖縄に修学旅行に行くのはごく少数なんです。そこで、戦争というテーマに子どもたちが向き合い、そして発信していくという取り組みはすごく面白いなと思って、企画を出しました。 実際に取材してみると、中学生ならではの素直な反応が新鮮でした。

インタビューをしても、こちらが聞いたこと以上のことが返ってきますし、中学生自身が発信したいメッセージがすごく伝わってきて、良いものが作れたと思いました。 実は、この番組から初めて自分でカメラを持って1人で取材をするようになったんです。 技術的には未熟なところも多いと思いますが、自分が思ったように現場で取材できたという意味でも良かったです。

Q:今はどんな番組を制作しているのですか?

今は、小学校4年生のクラスを取材する『ランドセルガーデン』という番組を作っています。 授業の1時間におじゃまして子どもたちの日常の様子“普段の輝き”をテーマにしています。 その他、山形で話題になっているお店や近所のペットを紹介する、本当に地域に根差した番組を作っています。 番組以外では、企業のVP作成やDVDなどを担当することもあります。 仕事のジャンルは多岐に渡りますが、いろいろなチャンスがもらえるのでやりがいがありますよ。

Q:これまではどのような仕事をされていたのですか?

今年4月で入社9年目になりますが、ずっと制作部にいるわけではないんです。 ケーブルテレビの番組ガイドを作る部署や自社が経営している映画館のチケットカウンターで働いていたり、映画の助監督を務めたときもありました。 実際、自分でカメラを持って番組を作るようになったのは1年半くらい前からです。 なかなか経験できないようなこともあったので、部署異動で見てきたことや教わったことが、今、番組制作で活きていると思います。

Q:会社の魅力はどんなところですか?

自由な番組制作ができるところですね。 自分がやりたい企画を出したときに「やってみなさい」と言ってくれる環境は本当にありがたいと思います。 逆に自分の力を試されるところもあるので、たまに打ちのめされますが。笑。

Q:番組制作で心がけていることは?

個人的にテレビって遠い世界のことのように感じていたんです。 小さい頃、テレビを見ていても自分の生きている環境とは関係のない世界だと思っていました。 ただ、この会社に入って取材をしていく中で、取材対象者との距離が近いこと、そういうところがケーブルテレビの魅力だと感じました。 ここに住んでいるからこそ知れる些細な “良いこと” を番組にできるのは、私たちの強みなんですよね。 地元の情報は、私たちが一番きめ細やかに伝えることができるので、そういうことを大切にしています。

Q:これからの夢は?

5年後も10年後も番組作りができる自分でいたいですね。 自分自身では、人物に密着して取材していくことが楽しいので、今後は長期期間に渡って追いかけるような番組企画ができればいいなと思っています。

広報委員の後記!

“バイタリティ”という形容がピッタリな吉村専務。 山形の地を世界のいち都市として捉える大きな目を持ち、“本当に伝えたいものを世界のどこで流れても良いように” とグローバルに物事を考えつつも “小さいけれど、されど尊い物語” という繊細な感性を忘れない、その姿勢が新しいもの生み出すのだと思いました。 活力あふれる「ケーブルテレビ山形」がおもしろいもの作ってくれるのではないかと、今後の東北地方に注目です!

 

インタビューアー:広報委員 ネヴァーストップ(株)三村裕司
ライター&写真:古木深雪
(2011年2月取材)