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広報委員が行く!会社訪問

株式会社 イカロス

所在地:港区東新橋2-2-8 スズキビル東新橋
電話:03-5408-3681(代表)
HP:https://www.n-ikaros.co.jp
代表取締役社長:平石 浩章

 

今回は創業77年の歴史を持つ株式会社イカロス。日本テレビグループの一員でありながら、独自の進化を遂げようとしている同社を訪問し、平石浩章社長とコンテンツ制作センター次長・制作部長の國京美里さんにお話を伺いました。

 

インタビュアー:広報委員(株)CURIOUS PRODUCTIONS・黒川幸太郎
写真:(株)エムファーム・田村正裕
(2024年6月取材)

■77年の歴史と新たな挑戦

Q.イカロスは創業77年とのことですが、その歴史についてお聞かせください。

当社のルーツは1947年に遡ります。元々読売映画社の前身の会社があり、1949年にもう1つの編集系の会社ができました。2000年に読売映画社と読売スタジオが対等合併して読売映像となり、2014年に日本テレビグループに入りました。そして2022年に日テレホールディングスグループの再編で日テレアックスオンの完全子会社となり、私が社長に就任しました。
77年という歴史は、日本テレビ放送の開始よりも古いんです。1964年には市川崑さんの「東京オリンピック」という映画のプロデュースも手がけています。

 

Q.イカロスという社名の由来は?

ギリシャ神話に登場するイカロスから取ったと聞いています。太陽に向かって飛んでいくイメージですね。社章やロゴも羽をイメージしたデザインになっています。2022年には社名のロゴを統一し、リフレッシュ感を出しました。

 

── ここで、株式会社イカロスの会社概要を

創 立 1947年11月12日
従業員数 100名(2024年6月 現在)
事業内容

■テレビ番組各種短編映像、DVDの企画、制作、販売
■撮影・配信事業

■映像の編集およびMA(録音)
■映像および写真等のデータベースの構築と販売
■マルチメディア・コンテンツ制作と販売
■テレビ局映像関連事業への人材派遣

主な番組

●コンテンツ制作部

【NHK】ダークサイドミステリー

【日本テレビ】news every.「気になる!」 / 世界頂グルメ

【テレビ東京】正解の無いクイズ / 有吉木曜バラエティ 

【BS日テレ】そのとき、歌は流れた~時代を彩った昭和名曲~

【日テレジータス】超ジャイアンツ

【BS12】プロ野球中継

 

●撮影部

【日本テレビ】ZIP! / ズームインサタデー!! プロ野球熱ケツ情報

【BS日テレ】皇室日記

【テレビ東京】タクシー運転手さん、一番うまい店に連れてって!

【フジテレビ】逃走中

【TBS】THE鬼タイジ

 

●ポスプロ

【テレビ朝日】マツコ&有吉 かりそめ天国 / かまいガチ / しくじり先生

【日本テレビ】ぐるぐるナインティナイン / THE突破ファイル

【TBS】熱狂マニアさん!

【フジテレビ】プレミアの巣窟

■多岐にわたる事業展開

Q.会社の事業内容について教えてください。

総合プロダクションという言い方でしょうか、当社は大きく2つの部門に分かれています。1つはコンテンツ制作センターで、もう1つはポスプロスタジオセンターです。

コンテンツ制作センターは、日本テレビ・テレビ東京・NHK・BS・CS各局等の番組制作はもちろん、配信コンテンツや企業向けの映像制作も手がけています。また、撮影部門は日本テレビの報道局へのカメラマンの派遣や自社制作や他社からの依頼に応じて撮影を行っています。さらに、アーカイブス事業として読売新聞社のアーカイブス管理や、読売オンラインへの動画アップロードなども行っています。

ポスプロスタジオセンターは、編集スタジオとMAスタジオを主な業務としています。日本テレビグループだけでなく、テレビ東京やテレビ朝日など、他局からの仕事も多く手がけています。

 

Q.グループ会社でありながら、他局の仕事も多く手がけていますね。

そうですね。我々の方針としては、日本テレビグループへ依存はしないがシナジー効果はしっかり出していく。そんな距離感を保っています。グループ内でブランドが並列する形で、親会社と下請けという関係ではなく、それぞれが外部からの売上を伸ばしていくことを目指しています。

 

 

■平石社長の就任と意識改革

Q.平石社長は2022年に就任されましたが、その経緯と就任後の取り組みについて教えてください。

私は元々日テレアックスオンの執行役員をしていました。2022年4月にイカロスがアックスオングループになるタイミングで、前社長の後を受けて就任しました。就任時はまだコロナ禍の影響が残っていたころで業績もやや停滞していました。そこで最も注力したのが、社員の意識改革です。

これまでイカロスは、グループ会社に依存しがちで、どうしても受け身になりがちでした。そこで私が目指したのは、外に向かって自ら提案していく「提案型の企業」になること。そして単なる番組制作会社という殻を破り、エンターテインメントのコンテンツ企業として成長していくことです。

そのためには、まずは自分が動く。自分が持っている人脈であったり、私自身が出向いて築いた新しい人脈を社内に還元するなど「自ら提案するスタイル」を率先して示し、見てもらうことで社員にもその姿勢が浸透していったと思います。

 

■働き方改革とポストプロダクションの課題

Q.働き方改革が叫ばれる中、制作業界特有の課題もあると思います。イカロスではどのような取り組みをされていますか?

これは本当に難しい問題です。特にポストプロダクション部門は大きな影響を受けました。労働時間の短縮や労基署への報告など、厳密に管理するようになってきています。一方で、これまで残業代も織り込んだ収入を前提としていた社員の収入が減る可能性もあります。そこで我々は、労働力を確保するために派遣社員の力を借りるなど様々な工夫をしています。

制作部門に関しては、管理職を中心に取り組んでいます。基本的には無駄な作業を減らし、ディレクターやプロデューサーができることは自分でやるなど効率化を図っています。

 

Q.社員の方々にはどのようなメッセージを伝えていますか?

「我々は何のために働いているのか」っていうことを私が着任したときから言っています。何のために売り上げを上げて、何のために利益を上げているか。イカロスは利益を上げたら、3分の1は株主のため、3分の1は会社に投資、もう3分の1は社員への還元です。その中でも1番最初に考えるのは、株主よりも社員への3分の1、つまり全ては我々の幸せのために繋がっているんだ、っていうところを認識してもらっています。

 

■人材育成と採用

Q.人材育成や採用について、どのような取り組みをされていますか?

採用活動は私が着任して本当に力を入れていることの1つです。ものすごく真剣に取り組んでいます。その人たちが将来イカロスを背負って立つことにもなるし、何よりもその上にいる先輩がこの新人を育てることで自覚が生まれるという相互関係も出てきます。そのために、積極的に様々な学校に出向いて、できるだけ多くの応募者を集めるよう努力しています。今年は新卒3名を採用しました。また、日本テレビグループの同期との交流も大切にしています。グループ内には健康関連企業、ファッション、eスポーツ、アニメーション関連の会社など制作だけではなく様々な業種の会社があるので、そういう人たちとのネットワークができれば将来大きな財産になるはずです。採用後のフォローアップも重視していて、毎週の幹部会で新入社員の状況報告を受けるなどきめ細かく対応しています。

 

Q.ベテラン社員の活用についてはどのようにお考えですか?

今まで管理職というと、マネジメントをする人を中心としたラインが中心でした。でもイカロスは制作会社なのでスペシャリストが活躍するからこそ会社に活力が生まれる、ということを改めて考えました。それで今年、スペシャリストを大事にする仕組みを作り、そのための人事制度を現在改訂しています。大切なのは、年齢に関わらず成果を上げた人をしっかり評価し、承認することです。そうすることで、シニア層のモチベーションも保たれ、会社全体の強みになると考えています。

 

■平石社長の歩み – 多彩な経験が育んだリーダーシップ

Q.平石社長、これまでのキャリアについて教えていただけますか?

私は1985年に大学を卒業し、現在の日テレアックスオンの前身であるNTV映像センターに入社しました。最初はスポーツ畑で、主に日本テレビのスポーツ番組制作に携わりました。

 

Q.具体的にはどのような仕事をされていたのでしょうか?

ADからディレクター、そしてプロデューサーへとキャリアを重ねていきました。印象深い仕事の一つが「ミユキ野球教室」という番組です。これは私が最初に担当した番組で、当時はまだADでした。この番組を通じて、野球選手やアナウンサーなど、様々な方々と一緒に仕事をする機会を得ました。当時は野球中継の視聴率が20%を超えるような時代で、番組に関わる人たちも錚々たるメンバーでした。ADからディレクターになる過程でそういった方々と同じ釜の飯を食べ、苦楽を共にした経験はその後の人脈形成に大きく役立ちました。

 

Q. オリンピック関連のお仕事も印象的だったそうですね。

はい、オリンピックの仕事は本当に貴重な経験でした。私は2000年のシドニーオリンピックと2006年のトリノ冬季オリンピックで現地に赴き、総合デスクを務めました。総合デスクの仕事は、日本テレビの取材団全体を統括するような役割です。報道、スポーツ、制作、情報番組と、様々な部門から来た約100名のスタッフのスケジュールや取材の調整を行いました。特に印象に残っているのは、各放送局の総合デスクとの駆け引きです。例えば、日本選手がメダルを獲得した際、どの局が最初に生中継するかを決めるくじ引きがありまして、そこでは単に自局の利益だけを考えるのではなく、他局との協力関係も重要でした。NHKやテレビ東京と良好な関係を築くことで、結果的により多くのチャンスを得ることができました。この経験を通じて、競争と協調のバランス、そして大きな組織を動かすためのコミュニケーション能力を学びましたね。

 

Q.スポーツ以外の分野でも様々な経験をされたそうですね。

そうですね。2011年に企画戦略センターの部長に就任し、そこから私のキャリアに大きな転機が訪れました。このセンターは、各テレビ局の編成部門とのカウンターパートナーとして新設されたものです。

ここで私は日本テレビだけでなく、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、NHK、さらには各局のBS放送部門など幅広い局との関係構築を行いました。これによって、業界全体を俯瞰的に見る視点が養われたと思います。

その後、映像事業センターに移り、一般企業向けの映像制作を担当しました。ここでは、広告代理店を介さずに直接クライアントと仕事をする機会が増え、企業の経営者や広報担当者との人脈を広げることができました。

さらにメディアコンテンツセンターでは、日本テレビの権利ビジネスや、字幕・解説放送など、テレビ業界の多様な側面に触れることができました。

 

Q.そういった多彩な経験が、現在のイカロス社長としての仕事にどのように活きていますか?

これまでの経験を通じて、制作の現場、局の編成、一般企業との取引、権利ビジネスなど、エンターテインメント業界の様々な側面を見てきました。それぞれの立場や視点を理解できることが、現在の経営に大いに役立っていると感じています。また、様々な局や企業との人脈は、イカロスの事業拡大に直接的に寄与しています。社員たちにこの人脈を紹介し、彼らが自ら関係を築いていく姿を見るのは、経営者として大きな喜びです。

 

■平石社長の素顔

Q.お仕事の話をたくさん伺いましたが、休日の過ごし方や趣味についても教えていただけますか?

そうですね、休日の過ごし方で一番大きいのはゴルフですね。ゴルフ歴は7、8年くらいです。以前、ゴルフ番組のディレクターをやっていて、プロゴルファーの倉本昌弘さんや岡本綾子さんに教えていただいたこともあります。今では月に何回か、同じ会社の仲間とラウンドを楽しんでいます。それ以外では、孫と遊ぶことも大切な時間です。あとは、実は猫を4匹飼っています。これがまた面白いエピソードがあって…

 

Q.4匹も! そのエピソードをぜひ。

元々は2匹だったんですが、ある日娘が家の中で「キャー!」と叫んだんです。何事かと思ったら、なんと猫が出産していました。猫ってそんなに早く大人になるのかと驚きました(笑)。それ以来、4匹の猫家族と暮らしています。毎朝5時半か6時には起きて、1時間くらい猫の世話をするのが日課になりました。トイレの掃除から遊び相手まで結構な作業なんですが、それが良い気分転換になっているのかもしれません。

 

■社員から見た平石社長 (~コンテンツ制作センター次長・制作部長 國京美里さん~)

── ここで社員のイカロスのコンテンツ制作センター次長であり制作部長でもある國京美里さんにお話を伺いました。國京さんは入社23年目のベテラン社員で、平石社長が就任してからの変化を間近で見てきた一人です。

Q.イカロスでのこれまでのキャリアを教えてください。

私は入社して23年になります。日本テレビグループになるまでは、読売新聞社関連の仕事が中心で、巨人戦や読売新聞の記者が出演する情報番組などをAD、ディレクターとして担当していました。日本テレビグループになってからは、巨人の専門番組を中心に、バラエティや情報番組の特番などのディレクターやプロデューサーを務めています。現在は部長として3年目になります。

 

Q.平石社長が就任されてから、会社の雰囲気や仕事の進め方に変化はありましたか?

はい、大きな変化がありました。1番変わったのは、ガバナンスがしっかりしたことですね。役割や責任が明確になり、部長やセンター長の権限も増えました。また、風通しが良くなったと感じています。一人ひとりが待ちの姿勢ではなく「自分はどうしたいのか」と自ら考えて動いていこう、という雰囲気になりました。

 

Q.國京さんからみた平石社長はどんな方ですか?

一言で言うと、バイタリティ溢れる社長だと思います。行動が本当に早いです。こちらが相談した瞬間に、その場で電話をして動いてくれるような感じです。また、常に前を向いているという印象があります。デスクに座っている姿が想像できないくらい、アクティブに動き回っている印象です。また、スピード感を大切にされていて決断も早いですし、それを実行に移すのも早いですね。

 

Q.平石社長のことばや行動で、特に印象に残っているものはありますか?

社長は「ピンチの時こそチャンスなんだ」とよく仰います。何か上手くいかなかったことを報告すると、「今がチャンスだ」「ここからが勝負だ」と、必ず前向きに捉え直してくれるんです。また、社員への気配りがすごいです。ベテランも若手も関係なく、新しいことに挑戦した社員には積極的に「ありがとう」と声をかけに行っていますね。

 

Q.平石社長の下で、イカロスはどのように変わってきたと感じていますか?

以前は受け身の姿勢が強かったのですが、今は自ら提案していく企業に変わってきました。例えば、BS11やBS12との取引が新しく始まったり、異業種のイベントに関わったりと、仕事の幅が確実に広がっています。若いディレクターたちも自信をつけてきて、自ら営業のように動き回るようになりました。日本テレビグループ内でのイカロスの存在感も高まってきていると感じます。
平石社長が掲げる「エンターテインメントのコンテンツを制作・創出する企業」というビジョンに、私たち社員も共感しています。

社長が作ってくれた環境を活かして、次世代のクリエイターたちが自信を持って仕事ができるよう、私たち管理職も全力でサポートしていきたいと思います。

 

── 國京さん、ありがとうございました。ここで、再び平石社長にお話を伺います。

■未来への展望

Q.最後に、イカロスの未来についてお聞かせください。

まずは、プロパー社員の地位向上が大きな目標です。給与面でも上げていきたいですし、イカロスの存在感も高めていきたい。そして、新規取引先を広げていくこと。イベントやPR活動など、これまでイカロスが手がけてこなかった領域にも積極的にチャレンジしています。

私の夢は、イカロスをエンターテインメント業界全体に影響を与える企業に成長させることです。そのために、社員一人ひとりが自信を持って、新しいことにチャレンジできる環境を作っていきたいと思います。

 

 

── 本日は貴重なお話をありがとうございました。

広報委員の後記!

平石社長のリーダーシップのもと、77年の歴史を持つイカロスが新しい時代へ挑戦を続けている姿が印象的でした。仕事への情熱と、プライベートでの猫たちとの温かな暮らし。その両面を持つ平石社長の人間味あふれる姿勢が、きっと社員の方々にも良い影響を与えているのだろうと感じました。イカロスの今後の飛躍が楽しみです。(取材・文:黒川幸太郎)